衣類の素材にこだわりはありますか?
特にこだわらず普通に買い物をしたら、おそらくほとんどが化学繊維の服を買ってしまうのではないでしょうか。綿のような手触りでも、商品の品質表示を見ると、数パーセントの綿に混ざって化学繊維が入っていたります。今や天然素材オンリーのものを探すのにひと苦労です。
数十年前に、あるファストファッションブランドのものが大ヒットしてから、幼児から高齢者までもに一気に浸透していき、天然素材の下着や服が、化学繊維のものにあっという間に置き換えられていきました。今考えると異様なスピードだったように思います。
本当に私たちの体にとって安心安全な良いものだったから、私たちはそれを生活に招き入れたのでしょうか?
いいえ。私たちはこう考えたのではないでしょうか。「生産技術が進歩したことによる恩恵を安価で手に入れられる時代になったのだ。しかも多くの人々が購入するほど受け入れられているらしいから、危険なわけがないだろう」と。
衣服に毒素は残る
ストックホルム大学の研究で、石油由来の繊維には数千種類の化学物質が含まれていることが判明しました。同大学の分析化学博士のジョヴァンナ・ルオンゴ氏は、以下のように述べています。
これらの化学物質への暴露はアレルギー性皮膚炎のリスクを高めますが、人体や環境へのより深刻な健康影響が、これらの化学物質に関連している可能性があります。これらの化学物質の中には、発がん性が疑われるものや、発がん性が証明されているものがあり、水生毒性をもつものもあります。
肌から取り込まれる化学物質は、最も排出されにくく、長期間体内に残り、溜まってしまうそうです。だから、なおさら厄介なのです。長期にわたって人体をじわじわと苦しめることになるのです。
「先に行くほど喜びが大きくなる」とは真逆のものしか得ることができないわけですね。
環境負荷

衣類を洗濯しても毒性のある物質は高濃度で残留して、人体に長期的に影響すると同時に、一部の物質は洗い流されて水域に放出され、水生生物に害を及ぼします。
また、着ているだけでマイクロファイバーが大気中にも放出されているらしいのです。
さらに、製造過程では、大量のCO2を発生させているらしく、大気汚染をも引き起こす要因となっていることを知っていましたか。
大量投棄

Netflixの配信で観た「今すぐ購入:購買意欲はこうして操られる」は、いかに人々の購買意欲を掻き立てるかの戦略や、過剰な消費サイクルについてのドキュメンタリーでした。その戦略は狡猾に消費者を誘導しています。私たちは、まさに「買わされている」のでした。
その結果どうなったかというと、私たちは必要以上にものを所有し過ぎましたが、それを提供する企業側はその比ではありません。大量に生産し、当然売れ残ったものを処分し、早いサイクルで次のものをまた大量に生産する。
売れ残った衣服の処分はどうしているのでしょうか。
そのドキュメンタリーの中のガーナ出身のスタイリストによると、人口約3,000万人のガーナに毎週1,500万着の衣服が送られてくるので、飽和状態のそれらは、やがて海岸の砂浜に積み上げられ、雨風に晒され、海岸線を埋め尽くしているのだそうです。
これは一例ですが、そもそも一旦必要とされているだろう所に押し付けても、いずれはゴミとして処分することになりますが、化学繊維には土に還らないものがあるのです。
レーヨン、アセテート、キュプラなどは微生物によって分解されても、ポリエステルなどの石油由来のものは何百年経ってもそのまま土に還ることはありません。
毎年何万トンもの衣服やプラスチック製のものがが投棄され続けてきて、すでに地球はゴミで溢れかえっているのに、ゴミの出口からは目を背ける。人類は狂っているのでしょうか。
まとめ
次に下着や服を購入するときどうするのか、少しは考えてみるきっかけになりませんか?
まずは「真実を知ること」が大切です。その上でなおも与え続けるのであれば、それはもしかしたら、自分や大切な人、さらに地球に対するネグレクトかもしれません。
ここ10年くらいでミニマリズムという生き方をする人が増えていますが、自分の身の回りから不必要なもの(害するモノ)を排除して、先に行くほど喜びが増すモノだけを選び直す。これもまたミニマリズムに通じる生き方だと思います。
自分の御用達の店やモノを絞ることで、買い物の労力や時間の節約にもなり、気分的にも逆に自由度が増すのです。