通じる発音さえ手に入ればそれでいいと、そこで止まってしまうのは、とてももったいないことです。英語のネイティブスピーカーの話す声の質が、日本人のとは何かが違うと気づいていますか?
東洋人にありがちな高くて細めの声が、ネイティブスピーカーのように深みや厚みのある声になれば、響き方が異なって、なんだかそれっぽいですよね。でも、これだけではない隠れた本当のメリットがあるのです。実は理由があってそうなったのだと私は思います。
副産物
発音以前の発声のしかた自体を変え、英語の声づくりを行うことで、たくさんの副産物を手に入れることができます。
もちろん声の高低は、生まれ持ったものがありますが、あるルールに則って行えば、同じ効果を生み出せるのです。
それは、声に厚みが出て、深く響くということだけではありません。子音や母音の音を際立たせることができるし、長い文章をまとめて速く話すことができるし、何より楽なのです。
上級者を目指すなら、これができる方が後々楽になるでしょう。
常流音
声をただ低くすればいいというのとは違います。それは苦しくて、疲れるだけです。
ではどうしたらよいのか?
”常流音”ー常に流れている音。
この常流音を常に流しながら、英語を話すのです。言わばBGMのような存在をです。
ところで、”常流音”という言葉は、聞いたことがないと思います。実は、私が以前作り出した造語だからです。
私はアメリカでの高校時代、すでに問題なく英語が通じていましたが、日本語の名残を消し去るにはどうしたらいいのかと試行錯誤した時期がありました。
まさにーrebornーのような体験でした。すでに通じている英語のその先の(実はここからが大変)、大きな壁を越えながらつかんだ構造改革のコツは、どの発音のテキストにも載っていないものでした。それらは、言葉にするのが難しいだろうと思われるものでした。
二重構造
「常流音をBGMのように流しながら、英語を話す」というのは、下記の図のようなイメージになります。
後日、英語にある”音階”については、また別の記事で述べたいと思いますが、下記の図の波線は、単語の子音と母音の音階や、文全体のイントネーションを示すと思ってください。
そして、ピンクの直線が”常流音”になります。

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常流音はlowerの音階で、力を抜いて声を出す、言わば脱力音です。
ですが、決してか弱い音ではなく、むしろ、力強く張り出していきます。
まずは、この音を出す練習してください。「あ”ー」という野太い声を喉の下の方で鳴らします。
頭の中では、上記のような二重構造のイメージになりますが、実際には声帯は一つしかないので、
ピンクの常流音を波線に合わせて上に引っ張ったり、下に引き下ろしたりして、上げ下げします。
ですが、頭の中では同じ音程のこの常流音が基本的に流れているので、すぐにまた元の常流音の位置に戻ってきてください。
そして息継ぎまでは、声をぶつ切りにはしません。脱力した声を上げ下げするだけですから、楽だし、一度にたくさん話すことができます。大事なのは、これは主に母音で響かせるということです。
次に、下記の図を見てください。
これは、子音のいくつかが常流音を遮っている様子です。
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常流音は、吐く息の無駄遣いをしないように、息を抑え気味で強く出します。ですが、いくつかの子音は、出し惜しみしていた息の貯金を使ってください。
まとめ
英語の発音だけでは、薄っぺらな印象を拭い去ることができません。本物感を出すことができない原因は「英語の声の出し方」だということに気が付いてから、私の英語は小手先の発音にとどまらず、一気に日本人英語を脱出しました。そして何より、楽に、そして落ち着いた(安定感のある)英語になりました。私がつかんだこの感覚を、どうやって言語化しようかと考えた挙句、思い至ったのが”常流音”という造語です。私は、声を大にして言いたいです。まずはここからだと。